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重力置換式高圧蒸気滅菌及びフラッシュ滅菌での包装について

参考文献:「医療現場における滅菌保証のガイドライン2015」日本医療機器学会 2015

 

重力置換式高圧蒸気滅菌及びフラッシュ滅菌に関する上記資料を抜粋してご紹介します。

フラッシュ滅菌法の注意事項
フラッシュ滅菌は、米国ではimmediate-use steam sterilizationの用語が改訂されている通り、保管しないですぐに使用する特殊な滅菌法である。緊急時の滅菌処理として用いられることから、通常の運転工程に対して時間短縮が求められる。フラッシュ滅菌専用の滅菌器も販売されているが、一般的な包装用高圧蒸気滅菌器から、空気排除工程や乾燥工程を削減することにより短時間化して用いられることが多い。滅菌運転完了後すぐに滅菌物が使用されることを目的としているため、以下に示すようなリスクを伴う工程である。
A.1 フラッシュ滅菌法のリスクについて 
A.1.1 空気排除工程削減のリスク 
空気と蒸気の置換行程を削減することから、一般的な包装をした滅菌物では滅菌不良のリスクが高まる。そのため、滅菌物は蒸気接触が起こりやすい未包装、または軽微な包装とすべきである。また、管腔器材など空気排除が困難な滅菌物は滅菌効果について十分な情報収集や事前検証を実施することが望ましい。
重力置換式蒸気滅菌器で処理する場合、空気は蒸気に比較して重いために下部に滞留する傾向にあり、滅菌物は中心より上方に配置することが望ましい。
A.1.2 滅菌後の取り扱いのリスク 
フラッシュ滅菌をおこなった滅菌物は滅菌を達成するために求められる包装の特殊性から再汚染しやすい状態にある。通常、未包装または簡易包装であり、特に未包装の場合には施設雰囲気から容易に再汚染する可能性がある。簡易包装の場合にも乾燥が不十分な工程であるため滅菌物が濡れている可能性があり、包装材の破損や濡れた部分からの再汚染のリスクを伴う。滅菌物の再汚染のリスクを可能な限り低減するための処置(運搬方法や運搬ルート)を明確にしなければならない。

ところで小型(卓上型)滅菌装置は、EN規格13060で、次のようにタイプ分類されています。

・Bタイプ(プレバキューム式)

・Nタイプ(重力置換式)

・Sタイプ(蒸気パルス式)

このうち、Nタイプ(重力置換式)の用途の説明としては「未包装の固体製品の滅菌」となります。滅菌包装材を使用することはできないとされています。

また、参考文献「手術用コンテナーに関する検討」日本手術部医学会誌 1990 にも滅菌コンテナー使用時の空気排除の重要性が指摘されています。

​この文献では、高圧蒸気滅菌中の滅菌コンテナー内の温度分布を測定されています。滅菌工程前真空引1回の場合、多少温度のずれが認められ、密に詰め込んだリネンの場合では、かなりの温度上昇の遅れが見られます。しかし、拍動性のprevacuumをおこなうと、温度上昇のずれは全く認められなくなります。このことから高圧蒸気滅菌時の滅菌コンテナーに対するprevacuumにおける拍動吸引の重要性を指摘されています。

滅菌コンテナーiConも重力置換式高圧蒸気滅菌及びフラッシュ滅菌には対応していません

​・空気排除工程がない滅菌方法では、未包装もしくは簡易包装とするべきです。滅菌コンテナーiConは空気排除の十分なプレバキューム式オートクレーブにてご使用ください。

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